・No.04「ウォーレン・バフェット」8/24/04
80年代の終わりから90年にかけて、カリフォルニアでは不動産への過剰投資の余波を受けて不況が襲っていました。好景気下での建設ラッシュの末、借り手がつかないまま空き室になったオフィスビルが建ち並び、どこのアパートも格安の家賃で借りることができたのです。不動産建設には銀行が多額の融資をしています。不動産価格が下がれば、当然銀行もただではすみません。当時、カリフォルニアの銀行は、いくつか潰れるだろうとさえ言われていました。
そんな中、西海岸を中心に展開している大手銀行、ウェルス・ファーゴ(Wells
Fargo)の株式を大量に買い取った金持ちがいました。オマハの大投資家、ウォーレン・バフェット(Warren
Buffett)です。多くの銀行が、無謀としか思えないような無理な融資を行っていた事実が毎月のように発表される中、今にも潰れそうなウェルス・ファーゴを大量に買うなんて、誰の目にもクレイジーでした。ジョークの効いた皮肉屋の多いアメリカの金融業界、「これでバフェットは莫大な遺産の相続問題についてアタマを悩ます必要もなくなるだろう・・・」などという嫌味も聞こえてきました。
バフェットはネブラスカ州(Nebraska)オマハ(Omaha)の大平原に生まれ、コロンビア大学の大学院で投資を学びました。半永久的に繁栄して行くと考えられる優良大企業だけに投資を続け、ビル・ゲイツ(Bill
Gates)に次ぐ全米で2番目の金持ちになりました。鋭利な刃物のように切れる頭脳とオヤジギャグを連発するユーモアのセンスを持つバフェットは、「トウモロコシ畑の資本主義者」などと親しみを込めて呼ばれています。
質問:「ジレットに投資している理由は?」
バフェット:「一年間に世界でカミソリの替え刃が200億枚以上も使われているそうです。今こうしているあいだにも、25億人の男性のヒゲが少しずつ伸びているのです。そう考えると、毎晩とても心地よく眠りにつけます。ジレットの社員にも不眠症の人はいないと思いますよ」
質問:「あなたが経営している会社の株をもっています。万が一あなたが死ぬ ようなことがあったら、株価はどうなるでしょう?」
バフェット:「もちろん、万が一のときに備えてどう対処するべきか取締役と話はしています。でも考えてもみてください。そのとき私が被る被害に比べれば、あなたの被害は大したことではないでしょう?」
バークシャー・ハザウェイ社(Berkshire
Hathaway Inc.)の最高経営責任者を務めるバフェットは、毎年開かれる同社の株主総会で5時間も6時間もの長時間にわたり、株主との質疑応答に応じています。投資に対する彼の意見を聞けることは確かにすばらしいことですが、それ以上に彼のユーモアあふれるトークに人気があるのも確かです。
バフェットがウェルス・ファーゴの株式を大量に買ってから3年後、銀行は潰れるどころか、大きく立ち直りつつありました。当時なぜ危険と言われたウェルス・ファーゴを買ったのか、後に株主総会で自ら理由を説明しています。
「私は、経営がずさんな銀行にたいしては、どんなに株価が安くても興味はありません。ウェルス・ファーゴに関しては、不況下でかなり割安に買えたことに加え、最良の経営陣がいたことが大きな理由です。彼らはお互いを理解し、信頼し、尊敬しあっています。そしてどんなに利益があがっているときでも、経費削減に務めています」。
当時バフェットがウェルス・ファーゴに投資したお金は10倍以上にもなっていました。彼はこのような投資を、もう何十年も続けているのです。
「おまけ」
大金持ちと言えばビル・ゲイツですが、彼と資産額全米一位の座を争っているのがバフェット。親子ほどの年の差のある彼に、ゲイツははじめなかなか会いたがらなかったそうです。ところが一度あったら、あっという間に意気投合。トランプのブリッジというゲームが大好きなバフェットに、オフィスで遊べるようにとコンピューターをプレゼントしたという話です。それまでバフェットのオフィスにはコンピューターはなかったらしい。
もうひとつ。オンラインでオークションのできるeBayというサイトをご存じでしょうか?そこに「バフェットと昼食をともにする権利」が出品され、どこかの投資会社が競り落としました。たしか25万ドルだったと思います。テレビのインタビューでバフェットが「こりゃ高すぎる。満足してもらえるようになんの話をするか考えておかなきゃ」と笑いながら話していたのを覚えています。このお金は全額めぐまれない人々への支援団体に寄付されました。
最近の話題では、大統領選でブッシュと争うケリー氏、そしてカリフォルニア州知事のシュワちゃんの経済顧問としてバフェットが抜擢されています。
★ Website
「Berkshire Hathaway Activewear Collection」
バフェットが最高経営責任者を務めるバークシャー・ハザウェイ社のポロシャツとキャップが買えます。毎年デザインがかわるのですが、今年はちょっと地味ですね。札束を鷲づかみにしているワンポイントの入ったシャツがお気に入りだったのですが、買い損ないました。 |
バックナンバー
・創刊号 7/27/04
「どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?」
・No.01「THE KING」 8/3/04
・No.02「Chasers 追跡者たち」8/10/04
・No.03「オズ」8/17/04
・No.04「ウォーレン・バフェット」8/24/04
・No.05「Manifesto Destiny」8/31/04
・No.06「UP and DOWN」9/7/04
・No.07「一攫千金」9/14/04
・No.08「THE DRIVE」9/21/04
・No.09「スタインベック」9/28/04
・No.10「バーバンクの魔術師」10/5/04
・No.11「フラミンゴ」10/12/04
・No.12「ラバ遣いが観た宇宙」10/19/04
・No.13「Mickey D's」10/26/04
・No.14「世界の始まり」11/2/04
・No.15「リーディング」11/9/04
・No.16「MEN IN BLACK」11/16/04
・No.17「大統領への手紙」11/23/04
・No.18「花」11/30/04
・No.19「ボニーとクライド」12/7/04
・No.20「アポロ計画」12/14/04
・No.21「Remember the Alamo!」12/21/04
・No.22「What a Wonderful World」12/28/04
・No.23「KO」1/4/05
・No.24「Masters」1/11/05
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・No.26「フライヤー」1/25/05
・No.27「Sexual Elegance」2/1/05
・No.28「TRUMP」2/8/05
・No.29「WTC」2/15/05
・No.30「AMEX」2/22/05
・No.31「灯りが灯るまで」3/1/05
・No.32「Blues Bros.」3/8/05
・No.33「Indy 500」3/15/05
・No.34「ハーランドの受難」3/22/05
・No.35「The Music City」3/29/05
・No.36「Buried Alive In The Blues」4/5/05
・No.37「America's Cup」4/12/05
・No.38「背番号42」4/19/05
・No.39「白人マイノリティー」4/26/05
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・No.43「Chocolate Town」5/24/05
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・No.46「SETI」6/14/05
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・No.50「カリフォルニア・ワイン」7/12/05
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・No.52「約束の地」7/26/05 |