US万次郎:「Manifesto Destiny」


   

 メルマガ「アメリカ生活アドバイザーの随想」(7/27/04-7/26/05)を再編集したものです。

・No.05「Manifesto Destiny」8/31/04

 1800年代初頭、アメリカの国土はまだ太平洋までは達していませんでした。現在の地図でいうところのテキサス、オクラホマ、カンザス、コロラドより西はスペイン領、北西岸のオレゴン、ワシントンはアメリカとイギリスの共同領地でした。共同領地とは言っても、実際はネイティブアメリカンの土地で、アメリカ人もイギリス人もほとんど入植していなかったのが事実です。

 スペイン領だったアメリカ南西部はメキシコとして独立しますが、経済的に国力が弱く、アメリカから幌馬車を率いてやってくる商人たちにさまざまな物資を依存していたのです。やがてアメリカ人はテキサスに植民地をつくり、サンタ・フェに貿易取引所を開きました。そこでアメリカからきた商人たちは、もっていた物資の8倍もの価値に当たる銀や毛皮と交換することができたそうです。こうしてミズーリ州インディペンデンスの街を始点にサンタ・フェ・トレイルと呼ばれる貿易路が整備されていきました。やがてアメリカの勢力が強まるにつれメキシコとの経済摩擦が生じ、後のアラモの戦いへと発展していきます。

 一方、北の経路を開拓して西へ向かう探検も極秘のうちに進んでいました。

 「なぜ極秘だったのか?」

 それは白人たちにとっては未開の地、イギリスとの共同領地であるはずの土地開拓を目指していたからです。目的は北西部でとれる毛皮。1804年に最初の探検隊が派遣されてから6年後、ロッキー山脈を越えて西へ抜けるオレゴン・トレイルが完成しました。

 1840年代に入ると、西部開拓移民がこぞってこのトレイルを旅しました。大平原が人と幌馬車でいっぱいになり、大変込み合ったそうです。その後、大陸横断鉄道ができるまでの25年間に50万人以上の人たちが旅しました。

 幌馬車を引いているのは馬ではなく牛。牛は馬よりも安く、平原に生える草を食べることができたのです。幌馬車には最低限の生活用品と大量の食料が積まれていました。人は馬車には乗らずに歩いたのです。オレゴンまで2000マイルにも及ぶ旅は半年かかりました。彼らの最大の敵は事故と伝染病。約1割の人が目的地を見ずに死んでいったそうです。

 アメリカからの開拓民が北西部に多く入るようになると、イギリスとの領土問題をはっきりさせる必要が出てきました。1844年、民主党の大統領候補となったジェームス・ポーグ(James Porg)は、選挙運動に「54度40分でなければ戦争だ」というスローガンを掲げました。これは「北緯54度40分をイギリスとの国境にしないのならば、戦争するぞ」という脅し文句です。もちろん戦争などというのはハッタリだったのですが、"Fifty Four Forty or Fight"という "F" 続きのスローガンはなかなか好評だったようです。

 結局ポーグは大統領となり、北緯49度線がイギリスとの境界線に決まりました。これが今のカナダとの国境です。

 「アメリカはなぜそこまでして西への開拓路をもとめたのか?」

 この答えこそが、同じ新大陸においてカナダにもメキシコにもない、アメリカ合衆国の独立心と向上心の源だったのかもしれません。西部開拓は、これもまた領土拡張論を持つ政治家たちのスローガンとして都合よく広められた言葉、「マニフェスト・ディステニー」(Manifesto Destiny)の元に進められました。「マニフェスト・ディステニー」とは、「アメリカ合衆国が太平洋まで国土を広げ、大陸国家となるのは神から与えられた使命、天命なのだ」という意味です。

 ポーグ大統領によりはじめて西海岸を領地にしたアメリカは、これでとうとう大陸国家となる天命をはたしたのです。


「ドライブ旅行の勧め」

 アメリカ国内を旅行するといえば、飛行機を思い浮かべるでしょうか?ところが長距離を移動するにもクルマを使うアメリカ人は少なくありません。インターステイトハイウェイが全米を網の目のように走り、東海岸から西海岸まで、4日もあれば横断できます。トランクに荷物を積めるだけ詰め込んで、気軽に出発できるのがドライブ旅行のいいところ。特に子供がいて荷物が多くなりがちな家族には飛行機よりも気楽で便利です。

 インターステイトハイウェイをドライブ旅行するなら、ぜひ利用したいのがモーテル。全国チェーンのモーテルなら、大抵数百マイルごとに見つかります。ハイウエイの出口が近づくと、レストランやガソリンスタンドのインフォメーションと一緒にモーテルの看板が現れます。お気に入りのモーテルができると、たとえほかのホテルがあっても素通り。目的のモーテルがみつかるまで、50マイルや100マイルは余分にドライブしてしまいます。

 値段も手頃で、安いところでは50ドルほど、物価の高い大都市近くでも、郊外のモーテルなら100ドルそこそこで泊まれます。部屋にはコーヒーメーカーやアイロン、ドライヤーもあり、冷蔵庫があることろも珍しくありません。コインランドリーが使えるのも、長期旅行者にはうれしいです。最近はモーテルの競争が激しく、様々なサービスが充実。部屋から高速インターネット接続ができるところもでてきました。朝食がついるのはもはや常識。朝、ダイニングに降りていくと、出張のビジネスマンや家族連れの旅行客に出会えます。


 ★ Websites

Nebraska Studies

 ページの下の方で、オレゴン・トレイルのルートや当時の幌馬車隊を再現したムービーをみることができます。アメリカの学校教材ですが、英語が苦手な方も楽しめると思います。FlashとQuick Timeのプラグインが必要です。

Explore the Old West

 英語のサイトですが、オレゴン・トレイルについてもっと詳しく知りたい方におすすめです。写真も何点か見られます。

バックナンバー

・創刊号 7/27/04
 「
どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?

・No.01「THE KING」 8/3/04

・No.02「Chasers 追跡者たち」8/10/04

・No.03「オズ」8/17/04

・No.04「ウォーレン・バフェット」8/24/04

・No.05「Manifesto Destiny」8/31/04

・No.06「UP and DOWN」9/7/04

・No.07「一攫千金」9/14/04

・No.08「THE DRIVE」9/21/04

・No.09「スタインベック」9/28/04

・No.10「バーバンクの魔術師」10/5/04

・No.11「フラミンゴ」10/12/04

・No.12「ラバ遣いが観た宇宙」10/19/04

・No.13「Mickey D's」10/26/04

・No.14「世界の始まり」11/2/04

・No.15「リーディング」11/9/04

・No.16「MEN IN BLACK」11/16/04

・No.17「大統領への手紙」11/23/04

・No.18「」11/30/04

・No.19「ボニーとクライド」12/7/04

・No.20「アポロ計画」12/14/04

・No.21「Remember the Alamo!」12/21/04

・No.22「What a Wonderful World」12/28/04

・No.23「KO」1/4/05

・No.24「Masters」1/11/05

・No.25「MTV cops」1/18/05

・No.26「フライヤー」1/25/05

・No.27「Sexual Elegance」2/1/05

・No.28「TRUMP」2/8/05

・No.29「WTC」2/15/05

・No.30「AMEX」2/22/05

・No.31「灯りが灯るまで」3/1/05

・No.32「Blues Bros.」3/8/05

・No.33「Indy 500」3/15/05

・No.34「ハーランドの受難」3/22/05

・No.35「The Music City」3/29/05

・No.36「Buried Alive In The Blues」4/5/05

・No.37「America's Cup」4/12/05

・No.38「背番号42」4/19/05

・No.39「白人マイノリティー」4/26/05

・No.40「イエロージャーナリズム」5/3/05

・No.41「ディマジオの恋」5/10/05

・No.42「Peanuts」5/17/05

・No.43「Chocolate Town」5/24/05

・No.44「Enterprise」6/1/05

・No.45「Amblin」6/7/05

・No.46「SETI」6/14/05

・No.47「」6/21/05

・No.48「ARPA」6/28/05

・No.49「The United Taste of America」7/5/05

・No.50「カリフォルニア・ワイン」7/12/05

・No.51「Ellis Island」7/19/05

・No.52「約束の地」7/26/05

筆者プロフィール  |  Contact:manjiro@usmanjiro.com
  

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