US万次郎:「フラミンゴ」


   

 メルマガ「アメリカ生活アドバイザーの随想」(7/27/04-7/26/05)を再編集したものです。

・No.11「フラミンゴ」10/12/04

 ラスベガスの老舗ホテル「フラミンゴ」を建てたベンジャミン・シーゲルを描いた映画、「バグジー」を観たことがありますか?ニューヨークのマフィアで殺し屋、「虫けら」(バグジー)というニックネームで呼ばれていたベンジャミンは、ある日、仕事の依頼を受けにハリウッドを訪れます。そこで知り合った女優とラスベガスの小さなカジノを訪れたとき、目の前の広大な砂漠を前に、今までにない豪華ホテルを建て、カジノビジネスをもっと大きなものにしようと思い立ちます。そしてマフィア仲間から資金を集め、理想のカジノ・ホテルの建設を始めました。

 現在のラスベガスは巨大ホテルが建ち並び、ギャンブラーだけではなく家族連れでも楽しめる、街全体が巨大なテーマパークです。ラスベガスがこのような繁栄を見せるようになったのは、ここ50年ほどのことで、なにもない砂漠の中に生まれたこの街はカジノに集まる人々で賑わいました。賑わったといっても、第二次大戦が終わって「フラミンゴ」がオープンした頃にはちょっと大きめのモーテルが数件ある程度の小さな町だったのです。

 ラスベガスの目抜き通り「ストリップ」に立ち並ぶ巨大ホテル群の始まりと言われる「フラミンゴ」の誕生物語は、映画「バグジー」を通して有名になりました。ところがこの映画では存在がかき消されてしまっているある人物について知っている人は、あまり多くないでしょう。

 2000年1月に出版された「The Man Who Invented Las Vegas」は、ウイリー・ウィルカーソン3世(Willie.R.Wilkerson III)が、彼の父、ビリー・ウィルカーソン(W.R. "Billy" Wilkerson)について書いた伝記です。この本のなかに、本当の「フラミンゴ」誕生物語があったのです。

 ハリウッドの映画界を扱った芸能情報誌「ザ・ハリウッド・レポーター」(The Hollywood Reporter)を発行していたビリー・ウィルカーソンはまた、映画俳優が多く集まることで知られるレストランも経営していました。しかし経営者、実業家としてよりはむしろ、ギャンブル好きで有名だったそうです。カリフォルニアで賭博追放運動が激しくなると、飛行機をチャーターして全米のカジノを遊び歩くほどの熱の入れようでした。ロサンゼルスからクルマで3時間ほど離れたリゾート地に、アローヘッド・スプリングス・ホテルを建設、大成功させますが、そこで招待客だけを相手に、違法だったカジノを運営、それが州政府にばれて御用になったこともあったそうです。

 ビリーの「合法的にカジノを運営したい」という夢は、カリフォルニアを離れ、お隣のネバダ州、ラスベガスに33エーカーの土地を買い取るところからはじまりました。街のメインストリート、ストリップには、すでにエル・ランチョ・ベガス、ラスト・フロンティアなどといったホテルがありましたが、ビリーにとってはどれもこれもちょっと大きめのモーテル程度しにか見えませんでした。

 「フラミンゴ」と名付けられた彼のプロジェクトは、それまでは誰も考えもつかなかったような巨大アミューズメントホテルの建設でした。250の客室を持つホテルには、カジノをはじめ、ナイトクラブやバーラウンジ、レストランやショッピングモール、ジムなどを完備、野外プールやテニスコートも併設します。当初のビリーの計画では、射撃場やバトミントン、ハンドボールのコート、スカッシュ場、ゴルフ場も企画していたそうです。

 このプロジェクトのための見積もり費用は当時の価格で120万ドル。しかしギャンブル好きで知られるビリーには誰もが貸し渋ります。それでもなんとか必要額の半分ほどを銀行から、残りを友人から借りることができました。ところが第二次世界大戦の影響で資材の価格が高騰、建設費はあっというまに2倍に跳ね上がります。

 もうこれ以上の資金を集められなかったビリーは、やむなくラスベガスからの撤退を考えていました。そんなある日、フラミンゴ・ホテルの将来性に目を付けたマフィアのボスが、資金提供に手を挙げます。ビリーの取り分は1/3に減ってしまいますが、プロジェクトは生き残りました。このとき、フラミンゴの運営に任命されたのが、バグジーこと、ベンジャミン・シーゲルだったのです。この後の展開は映画「バグジー」にあるとおり。バグシーはプロジェクトの内容を勝手に変更し、資金を横領。なんとかオープンしたホテルも赤字を出し、バグジーはマフィア仲間から狙われるはめになります。

 1946年にオープンしたフラミンゴ・ホテル。現在はPark Place Entertainment社に買い取られ、フラミンゴ・ラスベガスとして運営されています。新しい巨大ホテルの陰に隠れながらも、ラスベガスを代表する老舗ホテルであることにかわりはありません。


「ラスベガスから、日帰りドライブ」

 人工の不夜城だけがラスベガスじゃない!ちょっと足を延ばせば日本では考えられない大自然が広がっています。グランドキャニオンやモニュメント・バレー、フーバーダムはもうおなじみの観光スポットでしょう。そこでベガスの街から日帰りで行けるお勧めのスポットを2カ所、紹介します。スロットマシーンもショッピングモールもレストランもないけれど、どこかよその惑星に来たのではないかと錯覚するような砂漠のなかの大自然。レンタカーを借りて、出かけてみて下さい。

「レッドロック・キャニオン」 http://www.redrockcanyon.blm.gov/

 ベガスの市内からクルマで約30分。どこまでも続く広大な砂漠のなか、真っ赤な岩や巨大な断層を望みながらのドライブが楽しめます。レッドロック・キャニオンを走るシーニック・ループ・ドライブ(SCENIC LOOP DRIVE)は、一周13マイルの舗装された快適な道路。途中にクルマを停めて、ハイキングコースを歩くこともできます。ただし、夏場は40度を超える砂漠地帯。ビジターセンターで地図をもらい、飲料水も多めに持って、計画を立てて楽しんでください。


「デス・バレー」 http://www.nps.gov/deva/

 市内からは片道2時間のドライブになります。まず、クルマのガソリンは満タンにしておいてください。飲料水を多めにもって、できれば携帯電話もあれば心強いですね。デス・バレーは国立公園なので、レンジャーがクルマで見回りをしています。万が一クルマが故障しても、しばらく待てば助けを求められます。

 長野県ほどの広さをもつデス・バレーは、縦に200キロ、横80キロの長方形をしています。どこまでも続く砂漠、草も生えていない荒野。この風景は、西を目指してやってきた多くの開拓民の気力を奪い、命を奪ってきました。「なにもない」というものがどういうことなのか、いちど体験してみてはどうでしょうか?


 ★ Book,

The Man Who Invented Las Vegas

 Willie.R.Wilkerson IIIによる、父、W.R. "Billy" Wilkersonの伝記。フラミンゴ・ホテルの本当の歴史物語が語られています。残念ながら邦訳はされていないようです。

 ★ DVD

バグジー

 映画「バグジー」がいよいよDVD化されました。
出演:ウォーレン・ビーティ,!)監督:!)バリー・レビンソン

 ★ Websites

Flamingo LasVegas

 フラミンゴ・ラスベガスのウェブサイト。オンラインで予約もできます。

ラスベガス大全

 日本語によるラスベガスの大百科サイト。ベガスで遊ぶための情報がぎっちり詰まっています。ベガスのホテルの特徴を一軒ずつ詳細に解説。日本語ツアーの申込みもできます。ベガスに行くなら絶対チェックです。

バックナンバー

・創刊号 7/27/04
 「
どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?

・No.01「THE KING」 8/3/04

・No.02「Chasers 追跡者たち」8/10/04

・No.03「オズ」8/17/04

・No.04「ウォーレン・バフェット」8/24/04

・No.05「Manifesto Destiny」8/31/04

・No.06「UP and DOWN」9/7/04

・No.07「一攫千金」9/14/04

・No.08「THE DRIVE」9/21/04

・No.09「スタインベック」9/28/04

・No.10「バーバンクの魔術師」10/5/04

・No.11「フラミンゴ」10/12/04

・No.12「ラバ遣いが観た宇宙」10/19/04

・No.13「Mickey D's」10/26/04

・No.14「世界の始まり」11/2/04

・No.15「リーディング」11/9/04

・No.16「MEN IN BLACK」11/16/04

・No.17「大統領への手紙」11/23/04

・No.18「」11/30/04

・No.19「ボニーとクライド」12/7/04

・No.20「アポロ計画」12/14/04

・No.21「Remember the Alamo!」12/21/04

・No.22「What a Wonderful World」12/28/04

・No.23「KO」1/4/05

・No.24「Masters」1/11/05

・No.25「MTV cops」1/18/05

・No.26「フライヤー」1/25/05

・No.27「Sexual Elegance」2/1/05

・No.28「TRUMP」2/8/05

・No.29「WTC」2/15/05

・No.30「AMEX」2/22/05

・No.31「灯りが灯るまで」3/1/05

・No.32「Blues Bros.」3/8/05

・No.33「Indy 500」3/15/05

・No.34「ハーランドの受難」3/22/05

・No.35「The Music City」3/29/05

・No.36「Buried Alive In The Blues」4/5/05

・No.37「America's Cup」4/12/05

・No.38「背番号42」4/19/05

・No.39「白人マイノリティー」4/26/05

・No.40「イエロージャーナリズム」5/3/05

・No.41「ディマジオの恋」5/10/05

・No.42「Peanuts」5/17/05

・No.43「Chocolate Town」5/24/05

・No.44「Enterprise」6/1/05

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・No.46「SETI」6/14/05

・No.47「」6/21/05

・No.48「ARPA」6/28/05

・No.49「The United Taste of America」7/5/05

・No.50「カリフォルニア・ワイン」7/12/05

・No.51「Ellis Island」7/19/05

・No.52「約束の地」7/26/05

筆者プロフィール  |  Contact:manjiro@usmanjiro.com
  

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