US万次郎:「世界の始まり」


   

 メルマガ「アメリカ生活アドバイザーの随想」(7/27/04-7/26/05)を再編集したものです。

・No.14「世界の始まり」11/2/04

 神はトウモロコシから最初の男と最初の女を創った。

 第一の世界に最初の男と最初の女、そして創世者でありペテン師でもあるコヨーテがいた。第一の世界は狭くて暗いので、 第二の世界へと脱出する事にした。

 第二の世界には、太陽と月と東西南北があった。東は黒く、西は黄色、南は青く、北は白かった。時々、黒さが強まり、世界を闇にし、また時々、その他の色彩が強まり、世界を昼間にしていた。太陽は「最初の女」を好きになったが彼女は受け入れず、太陽と争いになった。コヨーテが仲裁にはいり、東西南北も加わって話し合った結果、第二の世界も狭いので、太陽と最初の女が離れて暮せるように、第三の世界へと上る事にした。

 第三の世界には4つの山と湖があり、ティーホルツォディという水の怪物が住んでいた。ある日コヨーテはティーホルツォディの二人の子供をさらってきてしまった。ティーホルツォディは激怒し、世界を水でいっぱいにした。慌てた人間は3つの山を一つの山の上に積み重ね、山の頂上に葦(あし)の種を植えた。葦は成長し、第4の世界まで伸びた。すべてのものは葦を登った。

 第四の世界には4つの山と光が3つあった。大きな川も流れていた。川よりも北には人々が住み、南には動物が住んでいた。時間の流れが速く、一日が一年の世界だった。男と女は仲良く暮していたが、あるとき言い争いが起こった。しかし女は、女だけでは楽しくないと思い始めた。しかし男は、男だけでは楽しくないと思い始めた。男と女は互いに補っていかないといけないと気付いた。しかし、人々は新たな禍に巻き込まれる事になった。コヨーテが第四の世界にティーホルツォディーの子供を連れてきたのだ。ティーホルツォディーは第四の世界も水に沈めてしまった。人間は4つの山を積み重ね、その頂上に葦を植えた。葦は雲を突き抜けて、やがて第五の世界の底にあたった。


 アメリカインディアン、ナバホ族(Navajo)の創世神話の出だしです。彼らの創世神話は4つの聖なる山に囲まれた世界の中で繰り広げられます。その中に光があり、闇があります。東西南北があり、誕生と死があります。すべての生き物が存在しています。彼らの世界は、閉じた限られた世界です。インディアンはそこで自然の精霊と語り合いながら暮らしているのです。

 彼らの神話には原典というものはありません。物語は口承で伝えられてきました。語る人の解釈の違い、話を面白くするためのたとえ話が加わり、神話はいつしか長く波乱に富んだ長編ドラマになっていったのです。

 「第四の世界」の物語では、このあとアナグマが登場。さらには度胸試しで白鳥に勝ったバッタのおかげで、みんなは「第五の世界」に入ることができるのですが、やがてそこも水没していきます。そしてとうとうコヨーテがティーホルツォディーの子供をさらった事が発覚、ティーホルツォディーの子供たちを返すことで、「第五の世界」は水没を免れます。この「第五の世界」とは、現在、私たちがいるこの世界のことです。


 第五の世界は暗闇だったが、東の闇の神に祈ると光を与えてくれた。水の引いた大地はまだぬかるんでいたが、東西南北の風に祈ると4日間強風が吹き、大地を乾かした。人々は土を練って積上げ、また4つの山をつくった。そして太陽と月を空に放り投げた。大酋長の妻が生け贄となって、太陽は規則正しく順行するようになった。人々はこのとき初めて、死という概念を理解した。


 もちろん物語はこのあとも続きます。最初の男と女、そしてコヨーテは空に星を散りばめ、三日月や半月も創ります。時間の概念ができ、四季が生まれます。そして巨人や人食いカモシカ、人食い鷲、さらには目から怪光線を放つ怪物が現れ、人類は滅亡します。そして再び最初の男と最初の女が創られ、ナバホ族の先祖になったのです。


「Native American」

 1492年、コロンブスがアメリカ大陸に到達したとき、彼はとうとうアジア大陸(インディアス)にたどり着いたと信じ込みました。ですから、そこに暮らす人々をインディアスに住む民、インディアンと呼んだのです。

 当時、およそ200万人のインディアンがいたと推測されています。話す言語も500以上と言われていますから、少なくともそれ以上の部族があったことになります。もちろん、北アメリカ大陸だけで相当広いわけですから、いくつもの部族=国があるのはあたりまえのことですね。

 白人が大陸にやってきた頃、インディアンたちはお互いの部族をすべて知っていたわけではありません。ですから、一致団結して「侵入者」と戦うというわけにはいかなかったようです。

 その後、白人との戦争やヨーロッパから持ち込まれた伝染病などにより、200年間のうちに人口は1/10にまで減少してしまいます。現在、アメリカ国内で純血を保つインディアンは250万人以下、全体の0.9%ほどです。そしてその1/3ほどの人々が、リザベイション(reservation)と呼ばれるインディアン特別居留地で生活しています。

 もともと誤解から決められたインディアンという呼び名。差別的な意味もあり今ではネイティブ・アメリカン、もしくはアメリカン・インディアンと呼ばれるようになりました。それでも彼ら自身、自らをインディアンと呼ぶ人もめずらしくはありません。侵略と差別の歴史を持つ、彼らの誇りなのかもしれません。


★ Websites

Monument Valley Navajo Tribal Park

 山田和宏さんのウェブサイトから。不思議なモニュメントバレーの景色をお楽しみ下さい。

NATIVE AMERICANのシークレット・ゾーン

 ミュージシャンでD.J、フォトグラファーでライターというMassieさんのインディアン居住区での体験談。こりゃぁ、おもしろいっすよ!

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どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?

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筆者プロフィール  |  Contact:manjiro@usmanjiro.com
  

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