・No.30「AMEX」2/22/05
ウイリアム・ファーゴ(William George
Fargo)は1818年5月20日、ニューヨーク州ポンペイ(Pompey, New York)に生まれました。貧しい家庭で学校へもほとんど行けず、スーパーマーケットの店員などをして生活を支えていたそうです。やがて鉄道会社の運送員の仕事に就いたウイリアムですが、その2年後にはバッファローで常駐勤務になります。
ヘンリー・ウェルス(Henry Wells)は1805年12月12日にバーモント州セットフォード(Thetford,
VT)に生まれました。まだ子供の頃に両親に連れられニューヨークへと移ってきたヘンリーは、「話す」ことに傷害をもっていたことから言語障害者のための学校を開いたこともありました。しかし後に運送員としての仕事に就くと、瞬く間にビジネスの才能を発揮し独立します。彼の会社「Wells
& Co」はニューヨーク市とバッファロー市のあいだを、郵便局よりも安い料金で配達することで大成功しました。そしてバッファローでウイリアムに出会うと引き抜きにかかり、意気投合したふたりは会社をどんどん大きくしていきます。まず配達地域をクリーブランド経由でデトロイトまで延ばすと、シカゴ、セントルイスと守備範囲を広げていきました。そして1850年、大きくなった会社をアメリカン・エキスプレス社(American
Express Company)として再編成ヘンリーが社長に、ウイリアムは秘書として役員の座に就きました。
勢いに乗ったふたりは1852年にとうとう西海岸まで到達します。サンフランシスコとサクラメントにウェルス・ファーゴ社(Wells
Fargo Company)を設立。ゴールド・ラッシュに沸くカリフォルニアで成功を納めたこの運送会社は、アメリカ初の女子短期大学の設立のための基金を作るなど、社会貢献にも前向きでした。
アメリカン・エキスプレス社のビジネスは海外へも広がっていきました。ヨーロッパとの取引が増えると、異なる通貨を扱う上での問題が生じます。「もっと簡単に通貨をやりとりできないか?」そうして生まれたのが「国際為替」でした。当時の郵便局でも為替は扱っていましたが、アメリカン・エキスプレス社はこれをより商業的にヨーロッパへも売り込んだのです。
さらなる商品開発はウイリアムがヨーロッパに旅行に行ったときの経験からはじまりました。当時、外国で銀行からキャッシュを得るためにletters
of credit というものが使われていました。自国の銀行から発行してもらうこのレターは、個人の経済的信用を証明するはずのものでしたが、よほど大きな街の銀行でしか通用しないのが現実でした。旅先の銀行で換金してもらうためにさんざんたらい回しにされたウイリアムは、帰国するなり「もっとまともな方法はないのか?」と問いかけ誕生したのが、今では海外旅行者におなじみのトラベラーズ・チェック(Travelers
Check)でした。1891年のことです。この「American Express Travelers Check」の誕生で、アメリカン・エキスプレス社は国際企業へと躍り出たのです。
会社の転機は1917年、第一次世界大戦と共にやってきました。第26代大統領ウッドロー・ウイルソン(Woodrow
Wilson)は、国内の鉄道は兵士と戦争のための物資の輸送に使うよう指示、いくつかあった鉄道会社は一つにまとめられ、事実上国有会社となりました。そして運送会社はビジネスに鉄道を使えなくなってしまったのです。
これをきっかけにアメリカン・エキスプレス社は事業内容を為替やトラベラーズ・チェックを中心にした金融業へと移していきます。1957年にクレジットカードビジネスに参入してからは、世界的なクレジットカード会社として知られるようになりました。また、カリフォルニアのウェルス・ファーゴ社は、ウェルス・ファーゴ銀行としてアメリカのメイジャー・バンクへと発展していきました。
「ダイナース・クラブ」
アメックスは世界初のクレジットカードではありませんでした。最初のクレジットカードは1950年に登場したT&Eカード(トラベル&エンターテイメント・カード)、後のダイナース・カードです。
実業家のフランク・ナクナマラ,アルフレッド・ブレーミングデール,ラルフ・スナイダーの3人がレストランで食事をし、いざ支払となったときに誰も持ち合わせがないことに気づきました。「たまたま持ち合わせがないだけで、決してお金がないわけではない。こんな時、どうすればいい?」
はじめは、いわゆる「ツケ」で食事が出来る会員制のレストランからはじまりました。この「食事の会=Diners
Club」をどこのレストランでも開けるようにと考案したのがクレジットカードです。「クレジット」つまり「信用」を持ち歩くことで、現金なしで買い物ができるシステムです。
アメリカン・エキスプレスが「American
Express Charge Card」をだしたのは1958年10月でした。年会費は$6。ダイナース・クラブより$1安かったそうです。アメックスのカードはチャージカードといって、毎月必ず使った分を支払うというものでした。ちなみにクレジットカードは、毎月の残高から決められた最低返済額だけを払えば良いというものです。
日本ではこのチャージカードのシステムがクレジットカードとして普及しました。後に出た「リボルビング払い」というサービスが、本来のクレジットカードにより近いものです。
ところで、最初のクレジットカードは、加盟店の名簿を閉じた小さな冊子のようなものだったそうです。ダイナース・クラブが日本に進出する際、より使いやすいものをと考案したのが、今では一般的なプラスティック・カードです。現在アメリカのアメックス・カードは、キーホルダー型になっているものもあります。
★ Website
「Wells Fargo History Museums and Store」
WellsFargo Bankのウェブサイト内にあるWellsFargoの歴史紹介コーナー。駅馬車グッズも売っています。 |
バックナンバー
・創刊号 7/27/04
「どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?」
・No.01「THE KING」 8/3/04
・No.02「Chasers 追跡者たち」8/10/04
・No.03「オズ」8/17/04
・No.04「ウォーレン・バフェット」8/24/04
・No.05「Manifesto Destiny」8/31/04
・No.06「UP and DOWN」9/7/04
・No.07「一攫千金」9/14/04
・No.08「THE DRIVE」9/21/04
・No.09「スタインベック」9/28/04
・No.10「バーバンクの魔術師」10/5/04
・No.11「フラミンゴ」10/12/04
・No.12「ラバ遣いが観た宇宙」10/19/04
・No.13「Mickey D's」10/26/04
・No.14「世界の始まり」11/2/04
・No.15「リーディング」11/9/04
・No.16「MEN IN BLACK」11/16/04
・No.17「大統領への手紙」11/23/04
・No.18「花」11/30/04
・No.19「ボニーとクライド」12/7/04
・No.20「アポロ計画」12/14/04
・No.21「Remember the Alamo!」12/21/04
・No.22「What a Wonderful World」12/28/04
・No.23「KO」1/4/05
・No.24「Masters」1/11/05
・No.25「MTV cops」1/18/05
・No.26「フライヤー」1/25/05
・No.27「Sexual Elegance」2/1/05
・No.28「TRUMP」2/8/05
・No.29「WTC」2/15/05
・No.30「AMEX」2/22/05
・No.31「灯りが灯るまで」3/1/05
・No.32「Blues Bros.」3/8/05
・No.33「Indy 500」3/15/05
・No.34「ハーランドの受難」3/22/05
・No.35「The Music City」3/29/05
・No.36「Buried Alive In The Blues」4/5/05
・No.37「America's Cup」4/12/05
・No.38「背番号42」4/19/05
・No.39「白人マイノリティー」4/26/05
・No.40「イエロージャーナリズム」5/3/05
・No.41「ディマジオの恋」5/10/05
・No.42「Peanuts」5/17/05
・No.43「Chocolate Town」5/24/05
・No.44「Enterprise」6/1/05
・No.45「Amblin」6/7/05
・No.46「SETI」6/14/05
・No.47「道」6/21/05
・No.48「ARPA」6/28/05
・No.49「The United Taste of America」7/5/05
・No.50「カリフォルニア・ワイン」7/12/05
・No.51「Ellis Island」7/19/05
・No.52「約束の地」7/26/05 |