US万次郎:「Indy 500」


   

 メルマガ「アメリカ生活アドバイザーの随想」(7/27/04-7/26/05)を再編集したものです。

・No.33「Indy 500」3/15/05

 毎年5月の最終月曜日はメモリアルデー、戦没将兵記念日のためにアメリカのほとんどの州で祝日になります。土曜日から3連休となるこのロング・ウィークエンドに、世界で最も歴史のあるフォミュラーカー・レース、インディー500マイル・レース(Indianapolis 500)が行われます。会場はインディアナ州インディアナポリスにある「インディアナポリス・モーター・スピードウェイ」(The Indianapolis Motor Speedway)。長短4本のストレートと4つのコーナーをもつ全長2.5マイルの長方形型のこの高速サーキットの歴史は1909年にまで遡ります。

 まだ自動車が一般の人々の生活に浸透していない時代、インディアナポリス・モーター・スピードウェイは完成しました。その2年後の1911年に、はやくも第1回インディー500マイル・レースが開催されたのです。以来、第一次大戦中の1917年と1918年、第一次大戦中の1942年から1945年をのぞき毎年続けられてきたこのレースは、同じサーキットで開催されている世界で最も古いレースとなりました。

 500マイルという距離は、スピードだけではなく、レーサーの体力、集中力そしてマシンの耐久性をも要求します。また開催当時のクルマの性能で、午前中にスタートし、夕暮れまでにはゴールできる適切な距離でもありました。第1回大会の優勝者レイ・ハラウンは6時間42分8秒のタイムでチェッカーを受けました。まさに主催者の思惑通りのタイムだったのです。時速220マイル(時速約350キロ)を超えるレースを観戦している今の私たちから見れば、当時のレースはずいぶんのんびりとしたものだったことでしょう。

 現在インディー500はIRL(Indy Racing League)Indycar Seriesによって運営されていますが、もともとはUSAC(United States Auto Club)の管轄下にありました。ところが1980年、参加チームのオーナーが集まりCART (Championship Auto Racing Teams:現在のChanp Car World Series)という独自の組織を結成、新たなレース・イベントを開催し始めます。ホンダやトヨタをはじめ、メルセデス、シボレー、フォードによるエンジン開発競争はターボチャージャー付きの高出力マシンを生みだし、迫力あるレースは人気を集めました。しかし過激なまでのマシン開発競争に多くのチームは資金的に苦しみ始めます。そして90年代はじめ、より経済的にレースに参加できるIRLが誕生したのです。

 IRLのレース・レギュレーションは、過剰な費用を必要とせずチームごとに極端なマシン性能の差がでないように工夫されています。たとえばクルマのシャーシはイタリアのダラーラ製、もしくはアメリカのパノス製の2種類から選択。エンジンはシボレー、ホンダ、トヨタの3社からの選択と、決められたもののなかから各チームが選んで購入していきます。そしてタイヤはファイアストン、ギアボックスはXトラック製のみの供給。エンジン開発条件もメタノール燃料の3リットル自然吸気V8で最高回転数は10,300rpmなどと細かく決められています。さらにシーズン中はエンジンの基本設計の変更はできません。それでもレース用に限界までチューニングされたエンジンは、重量わずか700kg のボディに700馬力近くのパワーを与えます。

 IRLが開催したレースは、1996年には年間わずかに3レースだけでした。そのひとつがインディー500だったのですが、インディー500のスタート順位は他の2レースの結果で決められたために、参加チームはIRLの主催するすべてのレースに出場登録する必要があったのです。CARTは「ミシガン・インターナショナル・スピードウェイ」で500マイルレースを開催するなどしてこれに対抗しましたが、歴史のあるインディー500に出場したいドライバーたちは次々と IRLへと移っていきました。

 こうして有力チームのほとんどが参加するようになったIRLは、2003年にその名称をIRL Indycar Seriesと変え、今年2005年には「インディアナポリス・モーター・スピードウェイ」でのインディー500はもちろん、日本の「ツインリンクもてぎ」を含む全17戦が予定されています。


「NASCAR」

 「ル・マン24時間」や「F1モナコ」とともに世界の3大レースと呼ばれる「インディー500」は、40万人以上の観客を集め、賞金総額は1000万ドル以上のアメリカ最大のモータースポーツ・イベントです。がしかし、アメリカで一番人気のあるモータースポーツは、もしかしたらインディーカーではなくて、NASCARかもしれません。

 NASCARはデイトナビーチの浜辺で改造車をもちよってスピードを競い合っていたのがそのはじまりです。テネシーの不良連中がはじめた改造車レースはいつしか全米に広がり、やがてデイトナビーチの砂浜と一般道を勝手につないで作った楕円コースに集まるようになりました。

 1950年代の後半頃、市販車ベースのクルマ(ストック・カー)によるレースを運営する組織、National Association for Stock Car Auto Racing (NASCAR)が発足すると、デイトナビーチから数マイルほど内陸に、正式にコースを建設。現在では「デイトナ500」の開催コースとして知られています。

 NASCARにはいくつかのカテゴリーがあり、市販乗用車をロールバーなどで補強したものから、トラック・ベース、さらに見かけは市販車でも、じつは軽量ボディにパワフルなエンジンを積んだものもあります。

 総重量1トンを越えるボディに7500rpm付近で500馬力を越えるパワーを発生する5.8リットルのV8を積んで、時速300キロ近くで楕円コースを爆走するNASCARこそ、まさにアメリカンなカーレースです。


★ Websites

INDY JAPAN.com

 「ツインリンクもてぎ」で行われる「INDY JAPAN 300」の情報をはじめ、他のレースとは一味違う「Indy 500」の情報も、独自の予選ルールを含めて日本語で紹介しています。

Indy Car Series

 Indy Car Seriesのオフィシャル・サイト。細かなレギュレーションをはじめレース日程、コースの紹介があります。

バックナンバー

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 「
どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?

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・No.18「」11/30/04

・No.19「ボニーとクライド」12/7/04

・No.20「アポロ計画」12/14/04

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・No.26「フライヤー」1/25/05

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・No.29「WTC」2/15/05

・No.30「AMEX」2/22/05

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・No.33「Indy 500」3/15/05

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・No.37「America's Cup」4/12/05

・No.38「背番号42」4/19/05

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・No.46「SETI」6/14/05

・No.47「」6/21/05

・No.48「ARPA」6/28/05

・No.49「The United Taste of America」7/5/05

・No.50「カリフォルニア・ワイン」7/12/05

・No.51「Ellis Island」7/19/05

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筆者プロフィール  |  Contact:manjiro@usmanjiro.com
  

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