US万次郎:「THE KING」


   

 メルマガ「アメリカ生活アドバイザーの随想」(7/27/04-7/26/05)を再編集したものです。

・No.01「THE KING」8/3/04

 まず、食パンにピーナツバターを塗ります。できれば、粒々が入っているやつがお勧め。つぎにバナナの皮をむいてから輪切りにし、ピーナツバターを塗ったパンの上に敷き詰めます。ボクは1cm厚くらいに切るのが好き。それから食パンをもう一枚、バナナをのせたパンとあわせてサンドウィッチにします。仕上げにオーブントースターでよく焼いてできあがり。コーヒーと一緒にかじりながら、今週のメルマガをお楽しみ下さい。

 1950年代、アメリカの音楽は大きな転換期を迎えていた。白人系アメリカ人のカントリーミュージックと、アフリカ系アメリカ人のR&Bが融合し、「ロックンロール」という言葉が生まれた。直立不動で歌うスタイルをうち破り、マイクスタンドを握りしめ、腰を振りながら熱唱するロックンロールが初めてテレビで放映されたとき、ものすごい数の抗議の手紙が局に届いたという。

 当時は不作法とされていたスタイルを、甘いマスクと抜群の歌唱力、セクシーなダンスでうち破ったのはエルビス・プレスリー(Elvis Presley)、アメリカでキングと呼ばれる男だった。人々は彼を見て熱狂し、古い決まり事を捨て、自由に自分を表現することに目覚めたのだ。

 メンフィス(Memphis)からクルマで1時間ほどの小さな街の貧困家庭に生まれたElvisは、アフリカ系アメリカ人のコミュニティに接した環境の中、R&Bやゴスペルの影響をうけて育った。信心深かった彼の母親は、子供のElvisを毎週教会へ連れていったという。54年のデビューとともにロックンロールをアメリカ中に広め、音楽をそのジャンルだけではなく、人種をも越えたアメリカ文化へと育て上げたのだ。

 Elvisをキングと呼ぶとき、それは「ロックの王様」を意味する。でも、それだけじゃない。アメリカ人にとってのElvisは、ビートルズ(The Beatles)よりも偉大なんだ。彼は人種差別という壁をもたなかった。稼いだカネの半分は、チャリティや寄付に使った。どんなに高価なものでも、誰にでも惜しみなく与えた。彼の歌に愛がこもっているのは、そんなElvisの人柄からだろう。Elvisをキングと呼ぶとき、アメリカ人にとってそれは、Jesusに次ぐほどの尊敬を意味する。彼は「神の教え」のかわりに、素敵な音楽を与えてくれたのだ。

 いまでもElvisの人気は衰えることはない。どこかで催し物があれば、定番のジャンプスーツとリーゼントヘアーにもみあげという、Elvisのそっくりさんをかならず2、3人は見かける。ラスベガス(Las Vegas)には、イベントや結婚式の余興のため、いつでも50人以上のElvisがいるらしい。南部の街では、「本物のElvis目撃談」、「Elvis生存説」だってある。

 MenphisにあるElvisの家、"Graceland"。その敷地内にある"Meditation Garden" には、Elvisと彼の両親、生まれてまもなく亡くなった双子の兄弟と祖母が葬られている。77年 8月、42才のElvisは愛する母の元へと旅立っていった。激しいスポーツの後の心筋梗塞だった。薬物中毒にかかっていたという噂は、まったくのデマだ。

 Elvisのお母さんのレシピをそろえているレストラン、"Elvis Presley's Memphis" のピーナツバターとバナナのサンドウィッチが、クリントン元大統領のレシピ集 "Clinton Presidential Center Cookbook" で紹介されている。 MenphisのBeale Streetにあったこのレストランは、残念なことに経営難から去年(2003 年)の9月に閉店してしまった。

 クリントン元大統領といえば、おとなりアーカンソー(Arkansas)が出身地。インターステイトハイウエイ40号を西へ、Menphis, Down Townのビル群を横目にミシシッピ(Mississippi)川をまたぐ大きな橋を渡ると、橋の中程にある州境で「ようこそ、ビル・クリントン(Bill Clinton)の生まれ故郷へ」という看板が迎えてくれる。振り返ると後ろはテネシー(Tennessee)。「ようこそ、アル・ゴア(Al Gore)の生まれ故郷へ」という看板が見送ってくれる。


「Coffee Table Book」

 アメリカの家庭のリビングルームには、家族団らんやお客さんをもてなすために、なくてはならない三種の神器があります。それは、ソファーと暖炉とコーヒーテーブルです。日本で言えば、座布団と床の間とコタツといったところでしょうか?

 円形や長方形などさまざまな形のコーヒーテーブルの高さはだいたい膝の辺り。ゆったりとしたソファーに深く座ると、お茶を手に取るのに身を乗り出さなければなりません。すると、テーブルの上にワンポイントで置かれた本を見つけることがよくあります。コーヒーテーブルブック(Coffee Table Book)と呼ばれるこの本は、国立公園の写真集であったり、レシピ集であったり、植物図鑑であったりします。

 ボクがおじゃましたアメリカのリビングで見かけた Coffee Table Book のなかで、「こりゃ面白いっ!」と思ったものに、「女性のためのNFL観戦ガイド」、「世界地図」それに「浮世絵画集」なんていうのがありました。いずれも実用的というよりは、写真や絵をみて楽しむ絵本といったところです。

 アメリカの本屋さんの入り口に、いろいろな Coffee Table Book が山積みになって安売りされているのをよく見かけます。ちょっと大きめで重いものが多いのですが、こちらへいらしたときなど、しゃれたのがあったらおみやげにいかがでしょうか?


 ★ Websites

J & D Richardson Limited Edition Original Photographs

 "Elvis Presley's Memphis" や"B.B.King Blues Clubが軒を連ねるBeale Street。巨大なピラミッド型のコンベンションセンター。Menphis郊外の Colliervilleの風景など、アメリカ南部の美しい写真をお楽しみください。サイト運営者のJ & D Richardsonはプロカメラマン。気に入った写真があったらオンラインで注文、日本にも送ってくれます。

Graceland Official Site

 Elvisが愛したMenphisの豪邸 "Graceland" のオフィシャルページ。館内を巡るバーチャルツアーや、現地での”リアル”ツアーの案内があります。

 ★ Book

The Clinton Presidential Center Cookbook: A Collection Of Recipes For Family And Friends

 Muhammad Ali、Bono、Christie Brinkley、Chevy Chase、Whoopi Goldberg、Don Henley、Quincy Jones、Bluce Lee、Sophia Loren、Mary Steenburgen、 Barbra Streisand、Elizabeth Taylorなど250人の有名人から集めたレシピ集。売上は、Clinton元大統領の出身地、Arkansasの州都 Little Rockに建設中の "The Clinton Presidential Center"(クリントン大統領図書館)の建設資金となります。実用的なレシピ集というよりは、ながめて楽しむ Coffee Table Bookです。

バックナンバー

・創刊号 7/27/04
 「
どうしてこんなにアメリカが好きなのだろう?

・No.01「THE KING」 8/3/04

・No.02「Chasers 追跡者たち」8/10/04

・No.03「オズ」8/17/04

・No.04「ウォーレン・バフェット」8/24/04

・No.05「Manifesto Destiny」8/31/04

・No.06「UP and DOWN」9/7/04

・No.07「一攫千金」9/14/04

・No.08「THE DRIVE」9/21/04

・No.09「スタインベック」9/28/04

・No.10「バーバンクの魔術師」10/5/04

・No.11「フラミンゴ」10/12/04

・No.12「ラバ遣いが観た宇宙」10/19/04

・No.13「Mickey D's」10/26/04

・No.14「世界の始まり」11/2/04

・No.15「リーディング」11/9/04

・No.16「MEN IN BLACK」11/16/04

・No.17「大統領への手紙」11/23/04

・No.18「」11/30/04

・No.19「ボニーとクライド」12/7/04

・No.20「アポロ計画」12/14/04

・No.21「Remember the Alamo!」12/21/04

・No.22「What a Wonderful World」12/28/04

・No.23「KO」1/4/05

・No.24「Masters」1/11/05

・No.25「MTV cops」1/18/05

・No.26「フライヤー」1/25/05

・No.27「Sexual Elegance」2/1/05

・No.28「TRUMP」2/8/05

・No.29「WTC」2/15/05

・No.30「AMEX」2/22/05

・No.31「灯りが灯るまで」3/1/05

・No.32「Blues Bros.」3/8/05

・No.33「Indy 500」3/15/05

・No.34「ハーランドの受難」3/22/05

・No.35「The Music City」3/29/05

・No.36「Buried Alive In The Blues」4/5/05

・No.37「America's Cup」4/12/05

・No.38「背番号42」4/19/05

・No.39「白人マイノリティー」4/26/05

・No.40「イエロージャーナリズム」5/3/05

・No.41「ディマジオの恋」5/10/05

・No.42「Peanuts」5/17/05

・No.43「Chocolate Town」5/24/05

・No.44「Enterprise」6/1/05

・No.45「Amblin」6/7/05

・No.46「SETI」6/14/05

・No.47「」6/21/05

・No.48「ARPA」6/28/05

・No.49「The United Taste of America」7/5/05

・No.50「カリフォルニア・ワイン」7/12/05

・No.51「Ellis Island」7/19/05

・No.52「約束の地」7/26/05

筆者プロフィール  |  Contact:manjiro@usmanjiro.com
  

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